2003年09月07日

KISSしてロンリネス / 南野陽子 (1990)

[ ]

20030820-amazon-goldenbest-minaminoyoko.jpg

(画像は "南野陽子 GOLDEN J-POP" P:1998

「亜蘭知子・織田哲郎・明石昌夫」 という、ありそうであまりあり得ないアルティメット・トライアングルによる曲の、恐ろしいまでの後ろ向きな意味での驚きに自分が驚いた。 「アイドルの最期」 ってやつには、どうしてこういう迷作が紛れ込んでしまうんだろう。 1990 年作品 『KISSしてロンリネス』。

音楽的 QOL 向上年間は依然継続中だというのに、結局我慢しきれずにリマスタリングベストを借りて、ライナーに目を通したらこんなに面白そうな曲を発見。嬉々として再生すること数分。完全にフリーズしていた僕の背後から、こっそりと近づいていた弟も同じくフリーズ。と言うことは、こりゃ客観的に聴いても相当な破壊力があるんだろう。

それでも停止ボタンを押さない僕を疑問に思った弟に 「こういう曲には、ゲラゲラ笑える仕掛けがラストに施されているんだ!」 と力説して最後を迎えてみれば、そこには期待を裏切ることのない笑いのツボが。でもその笑いは結構引きつっていたはず。クライアントの要求には、ソツなくしっかりと応えるビーイング。さすがは職人集団。

どういえばいいんだろうか。 WINK の一連のシングルや太田貴子の 『LOVE さりげなく』 をほうふつさせるマイナー調アイドルデジポップに、 B'z でいうところの 『太陽のKomachi Angel』 的シーケンスとベースラインの組み合わせ。いや…これはキーが違うだけで、中身は寸分違わず Komachi Angel だ…いくらなんでもそんな…。

チョット待ってよ。耳障りなギターソロも…この曲は完全なビーイング仕込みなんだから、弾いているのはこの当時ビーイングに所属していたギタリストの誰かなんだよね。 B メロでのギターの入り方なんて、妙に B'z くさくない? 松本孝弘が弾いているとは思わないけど、 KIX-S っぽくはあるんだよなぁ。南野陽子のこの曲は 90 年 11 月リリースで、安宅美春 (ex. KIX-S) のシングル 『孤独のRUNAWAY』 は同年 12 月リリース。曲が発表された時期から考えても、この勝手な類推はそれほど間違いではないような。

自分がうっかりしていただけであって、ビーイングファンとしてはこの曲はマストだったのかもしれない。ビーイングに対する抗体が出来上がっている身体にとっては、この曲の何たる甘美なこと。アナフィラキシーで昇天への一歩手前に堕ちる喜びとでもいえばいいか。ここに欠けているものがあるとすれば、それはメロディの織田哲郎くささだけで。織田哲郎の仕事にしては、あまりにもぞんざいだよ、これ。

いやはや。南野陽子と一緒に大黒摩季のベスト盤を借りてきたことに、こんな結果が仕組まれていたなんて。倉木麻衣の 1st は別として、大阪 GIZA が中心になってからのビーイングはちょっと優等生が過ぎてあまりピンと来るものがなかったけれども、過去への喜びを求めて生きる後ろ向きの日々にも、実は生きてさえいればいいことってあるものなんだな。

cf.
南野陽子 "NANNO Singles 3 + My Favorites" P:2003

この記事へのコメント

南野さんの後期の曲はひねりと勢いがあって、ようございました。
「KISSしてロンリネス」は音源が手元にないので、どのくらいビーイングだったのか
直に確かめる手だてがないことが残念です。
破綻寸前の楽曲であった「へんなの!!」はシングルバージョンと
アルバムバージョンではテイクが違ってたりして、そんなところに
南野サイドの力の入れどころというか入れ具合を感じるというか、
「そんなモノに力入れなくていいのに…」と思わせられてしまうのも
また策略だったのでしょうか。

時に、生まれて初めてトラックバックというものを打たせていただきました。
緊張しました。失礼がなければよいのですが。

Posted by: ふっちゃん at 2003年09月09日 00:13

真綾ネタへのトラックバックありがとうございました。

南野陽子の後期の曲を聴いたのは今回が初めてなんです。 『秋からも、そばにいて』 までの記憶はリアルタイムであるのですが、それ以降は実は全く…

ビーイング(織田哲郎)が WINK に提供した『咲き誇れ愛しさよ』 は、WINK のちょっと暗いテイストになかなかあっていたように思えるのですが、『KISSしてロンリネス』 は本当に、どうコメントしてよいものか。

一通り聴いてみても、やっぱり僕にとっての南野陽子は 『秋からも…』 までのシングルだったんだなぁ、という印象でした(すいません)。奇をてらわないアイドル路線に、強く印象に残るだけの何かがあったということなんでしょうね。

Posted by: 本人 at 2003年09月12日 00:23